学校法人一隅学園 だいぜんじ幼稚園

園内日誌

子どもの育ちを汲み取るために

りょうけんの独り言

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子どもの主体性を大切にする保育。


どんな保育なのか色々な言い方はありますが、一つの言い方として「育ちが見えにくい保育」と説明できます。


元来、幼児教育はそういうものですが、その見えにくさからくる「大人の不安」を解消するために、昭和から(もしかするともっと前から)「小学校の先取り教育」が全国の幼稚園で盛んに行われてきました。「小学校の準備機関」という位置づけから、文字や数のワークブックや、一律の到達点を目標にした跳び箱・体操などの体育教育等がその類です。


見えにくい部分の育ち(非認知能力)が幼児期の教育であるはずなのに、見える育ち(認知能力)を行って、先生達も保護者の方々も安心していたのだと思います。(その他にも理由はありますが…。)しかしながら、幼児期における認知能力を高める教育は、あまり効果がない(小学校以上ではもちろん大切です)ことはヘックマン博士によって立証され、今、国をあげて幼児教育の問い直しがはじまっています。

 

前回の記事に書いた通り、だいぜんじ幼稚園ではこの「育ちが見えにくい保育」により一層力を入れ始めました。文字や数のワークブックがあった時代は、その結果物を見て何となく保護者も先生達も安心していたのですが、今は分かりやすい結果物が基本的にありません。(本当の意味での幼児教育の結果は、大人になった時に発揮されます。それが人格形成における非認知能力の重要性です。)

 

そこで、どうにか保護者の方々と子どもの育ちを分かち合うために、下記2点の運営をスタートすることにしました。先進諸国の幼児教育界で用いられているもので(イタリアのレッジョ・エミリア市が発祥の幼児教育手法)、日本でもだんだんと広まっています。

 

まだまだ先生達も不慣れなので内容が乏しく申し訳ございませんが、保護者の子ども理解、そして子ども達の自己肯定感につながることを祈ってスタートすることにします。

 

<1> みてみてノート

 

ポートフォリオと呼ばれる一人ひとりの育ちを写真とともに教師の観点を捉えたものです。

※ 昨年度まで年少だけでやっていましたが、全学年で行います。



 

1.子どもの姿

何(遊びなど)をしようとしているのか。また、写真では伝わらない、その遊びの前後の姿などを分かりやすく簡潔に記しています。

 

2.育ちを見る

写真の活動(遊び)を通じて子どもの中で何が育とうとしているのか肯定的な視点でお伝えします。

 

3.次のステップ

この姿(育ち)を踏まえて保育者として大切にしたい次の関わりを簡潔にお伝えします。


みてみてノートは、園児のものであり、保護者のものです(もちろん先生達も)。ぜひ、お子様と一緒にご覧になりながら、文章では伝わらない世界を探ってみて下さい。子どもは自分の活動を写真で振り返ると、さらに自信が付き、自己肯定感が増すと思われます。お忙しいところ恐縮ですが、保護者コメントも是非お書き下さい。その子にとって一生モノになることを祈ります♪

 



<2> クラス便りをドキュメンテーションに!

 

ドキュメンテーションとは、子ども達・クラスの活動の一連の流れや様子を、写真でまとめたものです。保護者や教師が子ども達の育ちを汲み取ることはもちろん、子ども達自身も自分たちの活動をふりかえり、次に活かしていけるのがドキュメンテーションです。

 

昨年度まで、毎月のクラス便りは文章が多かったのですが、写真を多用することで、保護者の方々にもより伝わりやすく、何より子ども達も読む(見る)ことができるようになることを期待しています。みてみてノートと合わせてお子様と一緒に読んで会話して頂けると、子ども社会の理解につながるかと思います♪

 

毎月、全園児分のみてみてノート、クラス毎のドキュメンテーションを作成するのは、相当の時間がかかります。しかしながら、子どもの主体性を大切にする保育(=育ちが見えにくい保育)を少しでも垣間見られるように、保護者の方々の理解が進むように、毎月取り組んで参ります。



 

※ これに伴い、昨年度まで運営していた以下の内容は無くなります。ご了承ください。

・ 写真だけアップしていた「みんなのギャラリー」

・ 連絡帳に書いていた「毎月末の担任コメント」

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